僕へ そして 君へ 

過去の僕へ・・・

過去の僕へ、もう、何十年も経ってしまいました。現在、僕は元気に?うん、元気だな・・・元気にやってます。毎日が恥の上塗りのような・・・、あの頃には想像もつかない自分で過ごしています。相変わらず負けん気や格好つけるところは名残があるかな・・・ははは。

子どもだから、子どもだったから、随分と夢物語・・・描いたものでしたね・・・大学・・・行きませんでした。行くって言ってたね。いろいろあって・・・いや、ただ単に、拗ねちゃって・・だな。くだらない、実にくだらないプライド・・・自己の過大評価で・・・大学に行きませんでした。ごめんなさい。行っとけば良かったよね、ごめん。

ここまで、その時あの時の過去の自分に都合のいい逃げ口実をあてがってしまったね・・・描いた夢や目標や自分への約束を随分と裏切ってきたような半生になってしまいましたよ・・・誤りついでに・・・やめるって言ったんだけど・・・えと・・・あの・・・言い訳になるけど・・・サッカーやってます・・・やっぱやめれませんでした・・・

それで、今サッカー教えてるんだけど小学生とか中学生とか高校生とか・・・相変わらず格好つけちゃって、ウソばっか言ってるのよ・・・すまんすまん、全然成長ないかもね・・・よくよく・・・どんなときでも腐らず頑張ったんだよ、おれは・・・みたいな嘘、言っちゃってるんだ・・・ホントは本当は・・・あの頃苦しくて苦しくて人のせいにばかりしてたね。

なぜ、おれが選ばれないんだ・・・
なんで!!?俺の方ができるのにっ!!・・・
監督がおかしいんだっ!!・・・
間違ってるっ!!・・・
コーチの慰めなんかいらないよっ!!・・・
コーチすらおれのことわかってるのかっ!!・・・
なんでおれが認められないんだっ!!・・・
おれが出ない試合なんて負ければいいのにっ!!・・・
おれを早く出さないから負けたんだっ!!・・・
仲のいい先輩や後輩や同級生は、おれの方が合うって言ってるよっ!!
わかってるのっ!?わかんないだろうなっ!?
今日はちょっと味方が悪かっただけでおれは悪くないっ!!
おれよりなんであいつが使われるんだよっ!!
あいつも同じようなミスしてるじゃんっ!!
なのに?
なんであいつはいつも試合出てるんだよっ!!
お気に入りだけ使ってるんだろっ!! 
あいつ片づけもしないし 監督見てる時だけなのにっ!!  
なんでわかんないんだよっ!!  いっつも声出してるのおれじゃねえかっ!!
あいつなんかいつも全然声出してないのになんで先発なんだよっ!!
みんなおかしいって思ってるよっ!!
親だって、おれの方ががんばってるのにってっ!!・・・
なんだよっ!!
チームを想う選手が優先だとか 下手でも頑張ってる選手が優先だとか・・・ 

全部っ!!ウソばっかじゃねえかっ!!やってられねぇよっ!!拗ねて・・・腐って・・・気のない返事や素振りをして、甘えて・・・気を引こうとして・・・  寒いな・・・寒かったね・・・おれ。思い上がりも甚だしいね・・・

憶えてる?・・・憶えてるよね。現在の僕が憶えているんだから。忘れもしないさ・・・。2年生の冬。全国大会直前の鹿島遠征。僕は濡れ雪が降る中、大会前の調整試合をしていた。相手も勿論 他県の全国大会出場チーム。・・・そして、あの場面。

ボールを持った僕に、雨の日用の取り換え式スパイクをむき出しにした深いスライディングが・・・思いっきり脛に入った。足が折れたかのような激痛が襲った。
固いシンガードを突き抜け 肉に届くほどだった・・・

全国大会初戦まで、4日前の怪我。 僕は自分のことしか考えれていませんでしたね。夕刻、何とか治して試合に出たい・・・宿舎で足を冷やす私に玄関まで来いと監督からの伝令が飛んできた。玄関にいたのはスライディングをした相手チームの選手と監督でした。松葉杖を突いた相手は僕に謝罪をしてきた・・・『大丈夫でしたか・・・怪我をさせてしまって申し訳ないです。すいませんでした。早く良くなって試合頑張ってください・・・』・・・・

立ち去った後、私は監督に聞かれた・・・『大丈夫か・・・』
『はい・・・』と悔しそうに応える私に・・・  
『実は大丈夫じゃないんだ・・・ おまえじゃなくてな・・・。あの、おまえとの接触で膝と足首の靭帯をやってしまって、もう間に合わないんだと・・・もう終わり。しかも、3年生で、キャプテンだよ。これまでの・・・まぁ人生一寸先はわからないもんだ・・・云々・・・』

何も届かなかった。言葉が活字になって、ただ単に耳を通過したに過ぎなかった。そして、その時の私は 何をと言わずも、言えずも ・・・恨んだ。優しい仲間の言葉も・・・食事も時間も空気も布団もボールもユニホームも・・・恨んだ。あの場面が何度も、今も褪せたモノクロで思い出される・・・瞬間がスローモーションで・・・そして、2年生の全国大会は出場時間無しで終わる・・・

怪我さえなければ・・・あの時、あいつが、あの場面さえなければ・・・おれの未来は変わっていたんだ・・・そうに違いない・・・それなのに・・・人のせいにした・・・もしかしたら、つい最近まであの時のせいにしていた気さえする・・・ 

もう、嘘はつけないよね。わかってるよ。わかってた。あの頃から。もう、言っていいよね。本当のこと。まぎれもない真実、そう・・・・怪我をしてなくても  僕はあの時点であのピッチには立っていなかったよ。そして、その華々しいピッチには・・・レギュラー番号や エース番号を背負う後輩もいた。隠れて煙草を吸ってる先輩もいた。僕より・・・サッカーに情熱がない・・・練習量が少ない・・・声も出さない・・・下手な選手もいた・・・なのにっ!!・・・なのにっ!!・・・

そう・・・その考えこそが そもそも自分自ら自分贔屓の 思い上がりでしかなかったよね・・・本当は全然届いちゃいなかったよね。誰が見ても文句なしで試合に出れる力を僕は持ち合わせてはなかったんだよ。胸が痛いけどもう・・・告白しよう僕に・・・。

僕は自尊心ばかりが強くその努力たるものおおよそ万人が普通にこなせることをあたかも努力と言い放ち、僕は自分に都合のいい少数の味方だけを『みんな』という都合のいい多数指示者の理解と解釈にすり替え、僕は自分の弱さを力が及ばないことを満たされない思いを到達できない目標を掴むことのできなかった夢を・・・人のせいにしたんだよね。何かのせいにして自分を守ってしまったんだよね。

サッカーボールを忌嫌い、見ることさえ拒否するようになっちゃたりしたんだよね・・・その後。もちろんテレビでやるプロサッカーも見なくなった。活躍する同級生にくだらない嫉妬・・・ 逆恨みだね。

絶望、失望、不信・・・人の見る目とは確かなのか・・・正しいことを馬鹿が付くほどやっても・・・報われない・・・理不尽・・・  この解消しない痛みと向き合ったり苦悩することがもしかしたらスポーツの意義なのかもしれないとわかったのは今日この頃の話・・・

実は・・・この手紙 彼に届けてほしい。
彼は・・・君はいま不信という暗闇にいるだろう・・・ 
でもね・・・僕も・・・

僕は過去の僕は・・・今の君となんら変わらないそんな時間を過ごしてきたんだよ。そしてすごく物凄く後悔しているよ。腐っていた時間が今は本当に勿体ないと後悔しているよ。悔しかったらすぐ目を背けずにボールへとゴールへと顔を上げ。すぐに真っ直ぐに走るべきだったと後悔しているよ。

拗ねて甘えて言い訳の積み木をひとり積み上げる時間は 歩みを止めるだけでしかなかったよ・・・理解者などを求める乳飲み子のような振る舞いは 見る人聞く人が僕に覚めるだけでしかなかったよ・・・

君をそんな弱き者に育てたつもりも一緒に育んできたつもりもない。君へのその苦しみは君を強くさせてくれるよ。頑張れ・・・頑張れ・・・また君らしくあれ。いまはまだその傷が癒えなくて・・・何も信じれなくてもいいよ。  

ただこの手紙君に届いてほしい。

Published on 2012.11.15 at 23:40 by Sendai FC Staff

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