小さな魚たち・・・その2

審判は友達でもなければ、まして味方でもない。失礼な言い方に捉えられたら大変申し訳ありませんが、むしろ敵と考えた方がいいだろう。自分都合・自分思考で人は立ち回れると勘違いするものだから・・・。確かに不安定なジャッジだったかもしれないが、それも含めてサッカーであり、人生だと覚えて育ってほしい。相手の執拗なチャージ、取ってもらえないファールにセンターバック・コータローが苛立ち、自分が抑えれなくなっているのがわかった。とうとう、ブツブツと文句をいい、芝を蹴り上げた・・・。

試合の勝ち負けは大切だ。しかし勝ち方負け方の意味の方がもっと大切だ。『正しくないなら勝っても嬉しくない!! 正しくないなら勝っても誰も評価はしない!! そんな風に育てた覚えはない!! だったら文句も言わず我慢して我慢して負けた方がまだ成長になる!! 』前半を2-1のリードで戻ってきた彼らの雰囲気をぶち壊すように私はコータローに激昂した。汚い手を使っても何が何でも勝ちたいと思うこともある・・・。しかしその先にあるのは邪道外道の引き返せない道しかない。彼らをその道には進ませたくはない。下手くそに堂々と胸を張り、陽の当たる道を歩ませたい。本当の勝利とはそこから始まるものだと・・・。

叱られ悔し涙を流すコータローに仲間はそっと肩に手を掛け、声を掛ける。決してひとりにはしない。ひとりにはさせない。皆の涙なのです。

『戦術よりも大切なことがある。正しいことを貫く。それが遣り切れたとき、きっと勝利も勝利以上のことも掴めるはずだ。仙台FCサッカーを見せよう!!仙台FCサッカーを出そう!!仙台FCサッカーで勝とう!!』

相手はわれわれよりもベスト8に近い位置にいた。 もちろん勝ち点3を取りに来る。得失も絡むリーグ戦、畳掛けるような猛攻は必死。叱られ我を忘れ、冷静さを失ったコータローをかわすことなど、相手にとっては造作もなかった。サッカーはメンタルこそが何よりも重要不可欠、一番大切だ。精神の崩壊した選手を相手が見逃すことはない。  

・・・後半早々あっという間に2失点。逆転を許した。(これでいい・・・力に差もある。まして、まだまだ精神的に弱い・・・東北大会・・・いい経験だった・・・うまくもない・・・ここまでが限界。己の力を知ることもまた成長に然り・・・)試合を迎える前の、負けることを想定した私の言い訳や予防線が脳裏にちらついた・・・。と思った瞬間に・・・小さな泡の粒がふつふつと心の中に湧き出した・・・。

本当にこれでいいのか!終わるのか!彼らの力とはこんなものか!誰が一番信じてやらなければいけないんだ!大怪我にならないための柔らかいクッションを用意することが私の使命ではない!彼らの心と体を木端微塵に砕け散るほど力の限り戦わせることが私の使命だ!

ピッチには、35分しか持たないとドクターに告げられた光が、まだ目を輝かせ何かを信じて走っていた。ユニホームの下の上半身はテーピングで覆われていた。巻いたのは他の誰でもない・・・私だ。ふとベンチに目を向けると、控えの選手が声を張り上げて応援していた・・・。サポーターのお父さんお母さんたちはずっと立ったまま、声を枯らし、張り上げ、ひとつになって応援していた。

また、逃げてしまった・・・。クソ・・・おれのクソ野郎・・・。小さな泡の粒となって表れた私の想いや彼らとの歩んできた思い出という回想の数々は、ひとつになり大きく膨れ・・・そして一気に噴き出した・・・『こーたろー!!かずきっ!!声出せぇ!!まだ終わらねぇぞ!!戦え!!戦え!!』『おまえらここからだろ!!戦ええええええええええ!!』

恥ずかしかった・・・少しでも疑った自分が・・・。

ひとつになる!!
おまえらとひとつになる!!
絶対逆転してやる!!
仙台FCサッカーみせてやる!!

・・・私の半信半疑の心の内を、確信へと結びつけるべく、あの日を思い出していた・・・。

Published on 2012.07.11 at 10:46 by Sendai FC Staff

関連記事

  • スタッフブログ 2012.07.10

    小さな魚たち・・・その1

    わかってると思ってたんだけど。・・・ホントはわかってたんだろ?ホントに知らなかったのか・・・。そうか、むしろ関係ないか・・・順位なんて・・・。捨てられない大切なものがあるよな。おまえら・・おれたち仙台…

  • スタッフブログ 2012.07.11

    小さな魚たち・・・その3

    (2009/9/2 追想 夏休み日記②から2分の奇跡を信じて) (2009/9/10 互いの夢) 数々の奇跡を見てきた・・・。台本があるかのようなドラマのような奇跡を・・・。玉砕覚悟の決死の守備を凜太…