ときめきの夏風

残暑と呼ぶにはまだ早い、 真夏日のような、  それはそれは熱い一日でした・・・。

私と三十二人は横一列に、 互いにしっかりとつないだ小さな手、 そして 一気に歓声とともに走り出した・・・。

裸足の私の足を 焼け付くような熱さが走った。 

人工芝の下地にあるコンクリートの照り返しに、ナイロンの芝は溶けるようにべたついていた。

この暑さの中、彼らは走り回っていたのかと思うと・・・。

ふと走りながら横を見ると、そんな疲れさえ感じさせない彼らの笑顔。

涙を滲ませながら走る彼らの真っ直ぐな眼差しの先には・・・。

8月22日、 その日は来ました。 三年生最後の大会、高円宮杯。

3回戦、ベスト16を賭けた戦い。 対戦相手は中総体全県準優勝・東北大会出場チーム郡山中学校。

下馬評は1:9。 なぜなら、ご存知我が仙台FCは3年生2人・2年生6人・ちびっ子24人。

つい最近まで小学生だったちびっ子がスタメン出場するのです。 体格差 二分の一・・・。

一縷の臨みに賭けた 決死の戦いに挑んだ。  

あるとすれば・・・ 相手の余裕に隙を突くのみ。 後はしのぐしかないのだろうと考えていた。

32人が一丸となって戦う。 気持ちはひとつになった。

・・・後は60分後の未来を受け入れるのみ。  ホイッスルともに未来の扉は開かれた・・・。

隙を突く。  なんと先制は仙台FCの速攻から  1年生のヒカルが得点。

その後は郡山中の再三の猛攻を、仙台FCサポータの悲鳴とともになんとかしのぎ前半を終える。

しかし束の間、後半開始のホイッスルと同時に失点。 そしてすかさず2失点目を与えてしまう。

立場はまさしく逆転。 いつもならここから大量失点といったケースだ。

しかし、厳しい真夏の合宿を乗り越えた彼らは・・・  もう以前の彼らではなかったのです。

『 この夏で僕は変わる!! 』  いつも泣いてばかりいた2年生はこの土壇場で変わるのです。

待っていた成長はこんな切羽詰まった修羅場の中で訪れ、彼らを急激に変えた。

いつもなら逃げたのだ。 しかしもう逃げない。 『 一日でも長く サトシくん リュウヤくんと・・・ 』

彼らの思いはゴール前になだれ込むように、そして同点弾が・・・  決めたのは1年生ヒカル。

しかし この、  暑い、熱い一日は  まだまだ終わりを告げようとはしないのです。

終盤、・・・ベンチ、サポーター、選手、そしてボルテージはこの夏一番の熱さを迎える。

3点目を許してしまい、2-3。 勝負ありかと思われた終了間際・・・。

スコアは 3-3 になる。  なんと  1年生 ヒカルのハットトリック・・・。

遠征中、なかなか得点を挙げられず毎日と言っていいほど 『 悔しいです・・・ すいません・・・ 』 

と 悔し涙を流していた ヒカル・・・。  ひかる、言ったろ、やっぱ神様は見ていたね。

そして、終了の笛、一時ベンチへと戻る選手。 

消耗し切った足からは力強く放たれなかったシュートに、 号泣しながら戻る1年生ホクトがいた。

言葉にはなっていなかった。 ただ自分さえ強ければ・・・決められたのだと・・・。

迎えたのは、控え・ベンチ外の1年生・・・『 ホクトっ サンキュー!! 』
 
『 まだ負けたわけじゃないじゃん!! 泣くなホクトっ!!  超ーがんばったじゃん!! 』

2年生は 『 サンキューホクトっ!!  絶対勝つからっ!!! 』 

キッカー順を伝え、全員で円陣を組む。  キャプテンさとしは大きな声で放った・・・。

『 笑顔でっ!!!!!!!! 』    『 おぉぉぉぉぉぉぉぉぉー 』 

これから訪れる結果に対し 臆する事のない最高の笑顔だった・・・。  

熱い一日は、非情なPK戦へと 未来を結末へと、  進んで行きました。

・・・1番のリュウヤが外してしまう・・・落込むリュウヤを迎え入れたのは・・・ サトシ。

3年間を二人でがんばってきた。  言葉以上のつながりがそこにはあるのです。

リュウヤを救ったのは、2年生キーパーのマサト。 2セーブのファインプレイを先輩に贈る。

5人目のキッカーは1年生ユウキ。 これを決めれば・・・勝利・・・。

私は21人の選手達と肩を組み勝利を待っていた。 

『 代表、 決まったら中に走って行ってもいいですか? 』

勝利を確信したかのような満面の笑みで、 カイセイは聞いてきた。

本来はダメなのだが、 『 良いことにしよっか!! 』  私はルールより子供の意思を選んだ。

瞬間・・・。  選手達はなだれ込み、飛び跳ね、抱き合った・・・。

私と32人の選手は横一列に・・・  抑えきれぬ感動という波のように。

私と32人の子供達は・・・    ときめきという夏風になって。

涙を滲ませながら、笑顔で走る彼らの真っ直ぐな眼差しの先・・・、愛する父・母の元に飛び込んだのでした・・・。

Published on 2010.08.23 at 14:31 by Sendai FC Staff

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