我が家のサンタクロース

私が幼稚園の時です。

『 サンタクロースの正体知ってるか?』    3つ年上の兄が私に言った。

『 父さんと母さんなんだよ 』  『 昨日薄目で見たんだ 』   

兄は得意気に言い、私のファンタジーを崩壊させた。

まぁ 考えてみれば サンタのあからさまな行動は、 クリスマス前にやってくるのです。

師走、父と母はお歳暮の買出しに追われるのです。 我々兄弟には年に何度とないデパートに行く機会。

『 いいか、 これから母さんと買い物してくる間、 このおもちゃ屋にいろ。

  迷子のお呼び出しなんかされたら、迎えに行かないからな。

  そしてここでサンタに貰うものをしっかり吟味するんだ。

  いい子にしてなかったら、サンタは怒ってしまってプレゼント持ってこないからな。 』

  ( サンタさんはあなたより怖くはないよね・・・ )
 
母は店内の時計を指差し、

『 あの短くて太い お父さん針が2つ進んだら帰ってくるからね。』

  ( ああ・・・ まさに お父さん針だね・・・ )

兄、・・・彼は天才。 イタズラやおもちゃに関しては  天才。

彼に2時間など与えてしまったら、大抵のおもちゃやゲームは攻略してしまう。

おもちゃ屋の店員も気の毒だ。 放置された子供が、2時間おもちゃをフルコースで遊んでいるのだから。

兄は早々にサンタに貰うプレゼントを決めた。  

家に帰って攻略するために、触りだけ掴んでそのおもちゃから離れた。

ルービックキューブ。  

お父さん針が ゆっくりと3つほど進み、 サンタ達は帰ってきた。

『  決まったか。  サンタに頼んでおくからな。 』

  ( あなたはサンタと友達かよ・・・ )

待ちに待ったクリスマス。  兄の願いは叶い、ルービックキューブは我が家に届いた。

その年は サンタの昇進もあり、 お歳暮がかさんだのだろう。 

台所事情厳しく、『 仲良く遊んでね 』・・・・  あれ?・・・

『 おやつ 戸棚に入ってます 』・・・・

サンタの手紙の字は、 いつも言付けが書いてある母の字に似ていた。

ともあれ、ルービックキューブひとつ 頂いた。  3時間のミッションの末・・・。

『 でーきたっ!! 』  ありがたみもなくあっさりと六面体を完成させる天才。

『 どれどれ おれにも貸してみろ 』  と お父サンタ。

『 なんだ? あれ? こっちができても裏が崩れたか 』  苦労しているようだ。

『 お父さんもできないことあるんだぁ~ 』   と兄。

『 お父さんもできないんだ~ 』   さっぱりできず早々とリタイヤした私。

我々兄弟は調子に乗り、 『 お父さんも~で~きないっ! お父さんも~で~きないっ! 』

囃子までついてしまった。

・・・父の表情が変わった。  お父サンタは、 父さんに戻ってしまった。

静まり返った沈黙。 父はゆっくりと口を開いた。

『 ・・・この世の中に・・・  子が親をバカにするおもちゃがあって・・・  』

『 良いわけあるかぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!! 』  

火が出た。  言うやいなや、 閉めきった窓硝子越しのベランダに向け、父は力いっぱい投げた。

ガシャンッ!!  我が家はアパートの四階。 2秒後に グシャ・・・。

3時間のミッションは  ものの2時間で粉砕。

六面体は 細分化された。

サンタ怒らせたら・・・ 怖いね。

後日  瞬間接着剤でつぎはぎのルービックキューブを 父の目の前でカチャカチャと兄。

『 で~きたっ 』  

『 どれ  貸してみろ  』

その冬、窓硝子はダンボールでつぎはぎ。

『 どうせ また割れるから・・・ 』  と母。

Published on 2009.11.20 at 15:15 by Sendai FC Staff

関連記事

  • スタッフブログ 2010.07.24

    補助輪

    『 ねぇっ!! ちゃんと掴んでるっ!!!? 』 『 バカっ!!! 前向いて 漕げって!!!! 』 『 ガシャン!! 』 『 痛ぇぇぇぇぇぇ あっ 血ぃ 出てきた・・・ 』 『 だから 後ろ見なくていい…

  • スタッフブログ 2010.11.13

    井伊のです ( 怒 のち 期待 )

    いいのです。 ・・・いいのです。 いいのです・・・・・・。 調子に乗って連続更新。 今日はとても良い一日だったので・・・。 ジュニアユースの練習試合。 午前はエナブルさんと。 午後は移動してアズーリさ…