たくさんの小さな手が 雨上がりの空に向け 私を宙に舞わせた。
秋田県 男鹿。 小さな町の小さな大会。 しかしそれは立派な大会。
私の後輩達が指導者として、男鹿市を拠点にがんばっているチーム グロースFC。
カテゴリーはジュニアとジュニアユース。
子供達のサッカーを通じた交流と育成を・・・ そして文化の伝達。
指導者のみならず、グロースFCに係わるたくさんの関係者、たくさんの保護者の方達の懸命な手作りが伝わる、
非常に温かい大会でした。 選手、保護者、サポーター、指導者、そして市が一つになってがんばっていること、
それは小さくても立派な大会です。
感謝と そして益々の発展を期待しております。 ありがとうございました。
前回のブログにも書きましたが 中学3年生はお世話になった秋田へ最後の合宿。
去年はテント、今年はコテージ。 テントを経験したせいかコテージに大喜び。
上を見れば限がないが、下を経験すれば全ては贅沢にすら感じられるようになるものです。
『 今年はフトンあるぞ !! 』 っと 普通に聞いたら不思議な発言ですが、去年はフトンはない。
しかしフトンすら20人に対し、8組しかないのです。
『 おれ敷布団っ!! 』 『 じゃっ 俺掛け布団!! 』
『 何掛けるの? 』 『 シーツじゃねぇ 』
不思議な会話ですが 彼らにとっては普通である。
私も毛布を敷いて寝た・・・。 枕はバッグで掛けたのはシーツ。ちょっと贅沢だ。
たくましくなった。 彼らならどんな状況でも生きて行けると思えました。
最後を感じているのか 夜にはいつになく せまいコテージに集まり夜中まで話をした。
昔話で盛り上がりました。 『 おれ おまえのこと超嫌いだった 』 『 えっ 全然わかんなかった・・・』
『 あん時超おこられたよな 』 『 おまえのせいじゃん 』 『 タイミング悪かったぁ 』
彼女の話から元彼女のセンスなど ジャンルを問わず暴露大会のような・・・。
淳平監督はタメ口に ハゲネタと ほとんど友達だったような・・・。 むしろそれ以下のような・・・。
試合は順調に勝ちあがり、初の決勝戦進出を果たしました。
前夜はホルモンパーティーをしながら大盛り上がり。
いつもなら明日に備えるべく準備をしろと呈するところですが、最後の夏、大人への成長の夏、
今日はとことん夜を楽しもうとばかりに遊んだ。
その日は決勝進出を決めた試合後 水族館へ。
そして岩場で遊んでビショビショになったり、 一人の選手が波にさらわれ救出したり、
あげくに水族館の職員に私を含めお咎めを喰らったりと、 寝付けない話題がたくさんあった。
実のところ 私が彼らとの思い出をほしかったのです。 最後の思い出を。
寝不足で明日の優勝を逃してもほしかった・・・ その夜の彼らとの思い出を。
『 代表これ・・・ 』 選手から 水族館でとったプリクラを貰った。
すごく うれしかった。 涙がこぼれそうだった。 自分が彼らの仲間に認めてもらえたようで。
うれしかった。 どこまでも付いて行きたいと思った。
決勝戦。 スタンドもある立派なスタジアム。 私はこの大会のほとんどをベンチ外で観戦した。
決勝戦もスタンドからの観戦でした。
私の周りは対戦チームの関係者や、地元の方達が観戦していた。
『 こえがだ うまぐねども したげがんばるらしやぁ 』
( こいつらは うまくはないけれども すごくがんばるらしいよ )
見事な秋田弁での解説者がたくさんおりました。
先制点は 開始早々に相手チームに奪われてしまった。
しかし彼らはいつになくたくましく見え、 きっと応えてくれるはずだと安心して見ていられた。
『 こえがだ みなはえねが!! 体もつえし なにせばこたにならんだ!!! 』
( こいつら 皆早いじゃないか!! 体も強いし 何をすればこんな風になるんだ!!!)
『 球にみなしていぐねが どごまでもぼっかげるねが 足とめでらやづいねもの 』
( ボールに皆が反応しているし どこまでも追いかけるじゃないか。 足を止めている選手がいないね )
『 こんたに走ってこえぐねんだが? あだにあだっていでぐねのが? 』
( こんなに走って疲れないのか? あんなに強く当たって痛くないのか? )
『 球が足につでるんでねな 足が球さつでいってらんだ 』
( ボールが足に着いているんじゃなくて ボールの速さに足が着いて行っているんだ )
『 こえがだ つえ サイボーグだが 』
( こいつらは強いよ まるでサイボーグか )
『 だえひとり球さあぎらめね 獰猛な獣だ 』
( 誰一人としてボールをあきらめない 獰猛な獣だ )
最大の賛美です。 彼らのサッカーが見ている人に伝わることに 私はうれしくてふるえた。
そして 3点を返し 優勝。
表彰式で手渡されたカップを囲んで写真を撮った。
『 もう1枚お願いします! 代表真ん中で写真撮りたいんで!! 』
選手たちが言った。
私が 恥ずかしげに真ん中に座ろうとしたその時。
『 せーのっ!!!!!! 』