狙ってないなら嘘になる。・・・勝ち負けばかりでは育成にならないという。『勝ち』と『価値』、『負け』と『蒔け』勝敗を伝えるから価値をおぼえ、種を蒔き、そして芽出る・・・たまたま・・・勝ってしまった。
もちろん狙った。誰かの唱える都合のいい逃げ道育成論に塗れたくないという私の抗いがそうさせたか・・・いや・・・選手自身が勝ちに飢え、勝ちを欲したがゆえ・・・価値を得た・・・。すばらしいことだ。しかし、それにより少しばかり前に出たと錯覚を起こす。
前に出る。それは向かい風ばかりではない。向かい風ならば、前傾姿勢で頭を屈め、一歩一歩ジリジリと進めばいい。しかし、勢いで、不可抗力で、石に躓いた勢いで少しばかり前に出てしまった・・・。ただ、それだけのことに過ぎない・・・。前に出たばかりに、ふと背中に風が舞い込む・・・あわよくば追い風を期待する。力の無い者は得てしてそうなる。
背後から来る追い風とは・・・援護射撃でも後援するものでも支援するものでもない・・・自分という現在の力量は何ら変わるものではない。むしろ自分自身を支えらえる身体や精神力以上に圧し掛かる・・・期待という重圧・・・そして背後から狙う鎌鼬・・・それは痛みを感じるか感じないかというほどに・・・あっさりと・・・首の後ろからバッサリと・・・
追い風などいらぬ。
自分の力で自分の足で前に進む。
それのみ。
勝利に浴し、美酒に溺れ、足元を見失いながらも、追い風に背中を煽られ進軍する。そんな 阿呆にはなりたくない。全軍撤退。仕切り直しだ。