乗り越えなければならない壁

そうだ。  読み返してもそうだった。選手は真面目にがんばっている・・・。『東北大会出場で浮ついてるぞ!!地に足が着いてない!!今に足元すくわれるぞ!!』『気を引き締めろ!!』『怪我するぞ!!』・・・なんのことはない・・・私が調子に乗った為の天罰だ・・・。

地に足が着いてないのはおれじゃないか・・・浮かれんなよ・・・馬鹿。クソ野郎。おれ・・・持て囃したのは、おれ自身じゃねぇか・・・なんだよ・・・だったら、おれの足にしてくれよ・・・神様くれてやるよ・・・この足・・・マジかよ・・・自分自身が経験したことだったから・・・わかってただろ・・・高校3年のインターハイ県予選 シードからのスタート2回戦の初戦だったかと記憶する・・・気持ちが昂ぶり、地に足は着いていなかった。  前の日に見たイタリアリーグの試合を見て、気分は間違った方向に増長していた。自分ががんばろう!!おれが引っ張る!!全国に連れて行く!!・・・思い上がった勘違いだった。  

なんでもない場面。中盤のこぼれ球。任せても良かった。いや我慢して相手に付いて行く場面だったか・・・。グランドは芝がところどころ・・・でこぼこ・・・わかっていた。いや、練習不足だった。調整とかふざけた奢った気持ちで、怪我を恐れ練習に身が入ってなかった。いろいろ考えた。突き詰めると自分だった。・・・スライディング。かっこつけたポーズだったに違いない。おれ頑張ってるぞ!!・・・ピッチの段差と長い芝、気持ちの入っていないポーズだけのプレー、練習不足、・・・バカだった。

ブチブチと音を立て、あらぬ方向に曲がる足首。・・・左足首靭帯を複雑に損傷。私をよそに勝ちあがるチーム。活躍する控えだった選手たち。チームが勝ちあがっても素直に喜べはしなかった。ベスト4進出。一週間の猶予。治る見込みはない。鍼に電気にお灸になんでもやった。当日私は監督に立たせてくれと懇願し、痛み止めの注射を打ってピッチに立った。

・・・今でも後悔している。仲間を信用していない舞い上がった独りよがりから始まった怪我。なのに、自分がチームに必要だと勘違いを起こし独りよがりでピッチに立つ・・・。幸い延長、再延長の末、PKで勝利し全国大会に出場。そして優勝にガッツポーズする私。今でもその写真を思い返す度、自分自身に虫唾が走る。・・・なにをしゃしゃり出てんだよ、クソ野郎、おれ。

おれじゃなくてもチームは勝ったよ。おれが出なければもっとリズムは良かったはずだ。ここまで勝ち上がってきたのは、おれの力なんかひとつもないじゃないか・・・。悔やんだ。生涯後味の悪いものとして残るであろうことは必至だった。・・・教訓を生かしたい。そう思って指導に取り組んでいた。・・・それがそもそもの思い上がりか・・・。私の二の舞だけはさせまい・・・。それさえもが烏滸がましい考えだったか・・・。

飛鳥とピッチを視察に行った。ピッチ環境は私のあの日にだぶっていた。それでもディフェンスで頑張りボールを送って、前線でパスを繋いで仙台FCサッカーをしたいと話した。どんなピッチであろうと仙台FCサッカーをしたいと目を輝かせていた。山の上のグランド会場、六月の雨季、スタッドの高いスパイクじゃないと滑るからだめだと話した。そしてスタッドの高いスパイクは芝に引っ掛かると捻挫するから今のうちに慣れておけと・・・。どこも身体がでかい選手ばかりだからフィジカルに力を入れて大会に挑もうと・・・。スライディングを練習しないといざ本番で怪我するからと・・・。そもそも、東北大会というものに、浮かれていた発想だったか・・・。

飛鳥へ 
どの分野においても、スポーツであってもそれは文学においても大きな怪我や挫折を味わった者が偉大な人物になっているよ。ここがこの怪我が君を大きくさせる本当の始まりなのかもしれないね。・・・こんな慰めにもならない言葉しか思い浮かばない。おれの馬鹿さ加減に腹が立つよ・・・

3年生へ
せめて、このチームの大きな大きな痛みを胸に本当の意味でひとつになることを誓おう。誰一人、道から外れちゃだめだよ。踏み外しちゃだめだよ・・・みんなで進もう。頑張ろう。頑張ろう。歯を食いしばって頑張ろう。脇道反れそうになったら、仲間の顔を思い出そう。  もう一度、原点に帰ろう。僕らはこれまでもいくつもいくつもの壁を必死に乗り越えて来たじゃないか。 それは一人では到底乗り越えれない壁をみんなで仲間の力で乗り越えてきたよ。この壁もでかいな・・・でも、この壁を乗り越えて 壁の向こうにある希望に降り立とう・・・

僕らにはそれができるさ  

Published on 2012.06.06 at 20:48 by Sendai FC Staff

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